2008年 02月 08日
彼等の挑戦
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シ「コスケ!この家は埃だらけだ! だから一度綺麗に掃除しよう!そしてその状態を保とう!!」
ある日、同居人のシモーネがやけに真剣な面持ちで何を言い出すのかと思えば上のセリフである。
確かにこの家はお世辞にも綺麗とはいえない。
そのうえ油の乗り切った伊達男が3人と「イタリアにいる間はある程度の清潔さを放棄する。」と宣言した日本人が1人
(うんこを既に4回踏んだ事に由来する)住んでいるのだから汚れないはずがない。
一念発起して大掃除をするのは良いのだが、その状態を保つというのがいかに難しいか。彼らの食事の後の台所とテーブルを見れば明らかである。
案の定、その決心虚しくも敗走を続ける3人の伊達男たち。再び台所は元の姿を取り戻してゆく。
ところが、一週間ほどした頃。学校から帰るとキッチンとトイレが再びピカピカになっていた。
アピールするシモーネ。
シ「コスケ!モルトプリータ!!」(コスケ!もんのすごいぴっかぴかにしたんだぞ!!)
俺「すごいぞシモーネ!」(やれば出来るじゃないか!!)
自分の目を真直ぐに見据え、その功績を主張する彼の口調は、あたかも先日その政権を失った前プローディ首相の様でもある。
磨かれたキッチンに留まる自分が気になったのか、シモーネが再び声を掛けてくる。
シ「コスケ、油を使うのか?」
俺「いや、使わないけど・・・使うときはどうしたらいいんだ?」
油の匂いを嫌うイタリア人、ここは彼の功績に敬意を表しお伺いを立ててみる。
シ「いや、使わないならいいんだ。今日は俺の女友達が来るからな・・・」
・・・・そういうことか。
よく見りゃヤツの部屋も近年に見られないほどサッパリと片付いている。
ベッドのシーツはもちろん洗いたての「漢字」柄。最近購入した大振りの盆栽が二つ。ああでもない、こうでもないと部屋のあちこちにレイアウトの可能性を見出す事に余念がない。
これで彼女を迎えるオリエンターレな雰囲気はバッチリ。
何しろ隣の部屋には本物のオリエンターレが控えているのだ。
そんなある日、今度はトイレットペーパーが無くなった。
しかし誰もそれを購入しようとする気配を見せない、自分に買ってきて欲しいと言うでもない。
「無いから買う」など誰にでもできる事。しかし彼らは与えられた試練を克服するために、
キッチンのそれに活路を見出した。
・・・こんな所にキッチンペーパーがあるじゃないか。
by emilia-bologna
| 2008-02-08 08:47
| 最初の留学